仮りに、従来からの常道にはずれた方法で成功したとしても、ちょっと肩を叩いて褒められる程度だが、失敗でもすれば、レッド・カードものである。
失敗するにも慣例に従ってやるのがよい。
そのようなわけで、グループとしてのレミングには悪いイメージがあるとしても、そのなかの一匹がとくに非難されたという話は聞いたことがない」とは彼の言である。
Pは、企業を買収することと、株式の一部を買うことの聞に本質的な違いはない、と言う。
ただ実際には、買収してしまうほうを好んできた。
企業経営で最も重要な部分である資金の配分について、影響力を持つことができるからである。
それができないときは、その企業の普通株を買う。
この場合、経営権を持てないという欠点も、次の二つの利点で相殺される。
株式市場という広い場で対象を探すことができるということと、株式市場は割安株を提供してくれる、ということである。
どちらにしても、彼は同じ株式投資戦術をとる。
自分が理解できる企業を探すこと。
長期的に見てそして正直で有能な人々が経営していること。
さらに、これが重要なのだが、魅力的な価格でである。
有望、買えること、「投資するときは、われわれは自らを企業アナリストだと考える。
市場アナリストではなく、経済のアナリストでもなく、証券アナリストでさえない」と、彼は呈一TJ。
その意味は、企業買収あるいは株式投資を検討するときに、彼が第一に、そして最高にカを注ぐのは、企業人としての視点からだということだ。
企業の全体像を見て、経営に関するすべての量的および質的な面を分析し、財務内容を調べ、買値を検討する。
Pの過去の業績を調べると、基本的な原則、主義というものが見えてくる。
グループとしてとらえると、これらの原則は、彼の株式投資法の核をなしマクロていると言えよう。
これら一二の原則は、自分の会社すなわちPの経営にも基本原則として活かされているものである。
彼は話すことを自ら実行する。
毎日、自分のオフィスに入るときに、自分が買収する企業に対して要求するのと同じ質のものを、自分の企業も備えていることを期待しているのである。
Pにとって、株式とは抽出するものであった。
相場観、マクロ経済の理論、業界の動向などに照らして考慮することなどはしない。
もし、投資家が企業のファンダメンタルズではなく、表面的な思いつきで投資を行なつだとすると、何かの問題が起こる気配でもあれば早々に逃げ出すだろうし、その過程で損をする可能性は大きい。
逆にPは、検討中の企業について集中的に調査する。
その際に、三つの要件に焦点を当てることになる。
その企業は、簡明で理解しやすいか?その企業は、安定した業績の記録があるか?その企業は、長期の明るい展望があるか7簡明で理解しやすい彼が見るところ、投資家の成功は、投資対象になる企業をよく知っているかどうかにかかっている。
この考え方は、か企業本位の投資家、その他大勢の株の買い手。
とを分けるうえの明確な依り所になるだろう。
長年の聞に、Pが株を保有した企業は広範囲な業種に及んでいる。
給油所、農機具、繊維、大手小売業、銀行、保険、広告代理業、アルミニウムとセメント、新聞、石油、鉱山、食品、タバコ、TV&ケーブル等々である。
買収して経営権を得た企業も、少数株主にとどまった企業もある。
どちらのケースでも、彼はその企業の経営内容をよく把握していた。
売上げ、経費、キャッシュフロー、労使関係、価格設定の自由度、そしてそれら各社への資金配分のニーズなどである。
Pは、株式を保有している企業について、高いレベルの知識を持ち続けている。
もともと、彼が得意とする金融、加えて十分理解できる範囲の業種に持株を限っていたこともある。
彼は、次のように言っている。
「君の得意とする分野に投資せよ。
その分野の広さは問題ではない。
その各々について、いかによく知っているかということが大切なのだ」Pが自らに課している限界があるので、優れた投資対象になりうる分野の企業、たとえばテクノロジー関連企業などへの投資の好機をみすみす逃すのではないか、という批判がある。
それに対して彼は、「投資の成功はいかに多く知っているかではなく、知らないことをいかに現実的に限定するか、ということにかかっている」のであって、「投資家は、大きい失敗を避けている限り、正しいことを、それほど多くする必要はない」としている。
Pが学んだのは、普通のことを普通に行なうだけで、平均を超える成果を達成することができるということだ。
要は、その普通のことを、格段にうまくやることだという。
安定した業績の記録があるPは単純明快さを好むだけでなく、難しい問題の解決に取り組んでいる企業、従前の計画が成功しなかったために根本的に業務の方向を変えようとしている企業、などは避ける。
経験から学んだのは、同じ製品またはサービスを何年間も続けて手がけている企業は大きな成果を生むこと、また大きな業務上の変更を行なえば重大な誤りを犯す可能性が増す、ということだった。
「重大な変更と、特別によい成果は結びつかない」と言う。
ほとんどの投資家は、不運なことに、その逆が正しいかのような投資を行なう。
彼らは、リストラが進行中の企業を選ぶ。
説明のできない理由で、将来得られるかもしれないものへの期待に自ら熱くなり、企業の現状を無視するのである。
Pが、投資と企業経営の経験から学んだことはグ起死回生。
からは、めったにか回生。
がないことだった。
難しい企業を安値で買うより、よい企業を妥当な価格で買うほうが、エネルギーをもっと有効に使える。
「Cと私は、難しい企業内の問題を解決する方法は学ばなかった。
われわれが学んだのは、それを避けることだった。
われわれが成功したのは、七フィートの障害を飛び越える能力を得たからではなく、一フィートの障害をも逃さず、見つけ出すことに力を注いだからだ」と説明している。
長期の明るい展望があるPによれば、経済界は、フランチャイズ企業からなる小さなグループと、それよりはるかに大きいコモディティ企業群に分けられる。
この後者のほとんどは、買いの対象にはならない。
フランチャイズとは、ニーズのある、あるいは欲しがられている、代替品のない、規制のない、製こうした特徴を持つため、フランチャイズの企業は、製品・サービスの価格を定期的に上げることができる。
売上げの単位数の減少、マーケット・シェアの低下を心配しないですむからだ。
そして、需要の停滞時、あるいは生産設備が遊んでいるときでさえ、値上げすることが可能である。
価格設定についてこの柔軟性があるので、これら企業は投下資本に対してグ平均を超える利益。
を上げることができるのである。
もう一つの決定的な特徴は、フランチャイズ企業は、少なくない金額の経済的かのれんu を持つことである。
そのおかげで、インフレにも強いということだ。
逆にコモディティ企業は、競争相手の企業と、製品については区別がつけにくい。
かつては、代表的なコモディティと言えば、石油、ガス、化成品、麦、鋼、木材、オレンジジュースなどだったが、今日ではコンピュータ、自動車、航空、金融、保険などもこの分類に入るようになっている。
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